「売上 = UU × CVR × 単価」はどの会社でも実施している因数分解です。
マネージャーから「要素分解できてる? UUはなぜ減ったの? UUを元の水準に戻す打ち手は?」と言われ、「いやいや単純にUUだけを伸ばしても買ってもらえない顧客を増やすだけで売上は伸びません、市場環境が変わったので。」というやりとりは日常茶飯事でしょう。
どう要素分解するかはとても大事な基礎ですが、それだけを言う「わかってないマネージャー」と「わかってる現場」の壁がどこにあるのかが、最近読んだ本でしっくり来ました。
「要素還元主義」と「構造主義」とは?
要素還元主義は、つまりは上記の因数分解です。ダッシュが速い + クロスがうまい + シュートがうまいの、それぞれの要素を向上させればサッカーがうまくなるという考え方です。
構造主義は、全体感です。ダッシュもクロスもシュートも相互に作用していて全体ができあがっています。要素分解した1つ1つを単純に足し合わせてもサッカーがうまい選手にはならないという考え方です。
先の例の上司と現場が会話をしているときもこの要素還元主義と構造主義が入り乱れています。「売上減少要因をUUに要素分解しながらも、全体感として捉えながら会話している」程度感の違いで意見や議論の進め方が食い違っています。上司は原因を明快にしたいので要素還元主義に重きを置いていて、部下は肌感で状況をつかんでいるため構造主義に重きを置いています。
「ビジネスセンスがある」とは構造主義で質高く見れていることではないか
「あの人はビジネスセンスがある」という言葉もよく聞きますが、その意味がわかっていませんでした。「ビジネスをうまく動かすことができる」くらいに曖昧に捉えていましたが、そうではなく「構造主義で全体を見れていて、適切な構造を作ることができる」ということなのだと理解が進みました。
両方の考え方があることを理解した上で考えることが大事
成果が出ないときにUUの減少にシンプルに着目するマネージャー(要素還元主義)と、UUの減少が全体の一部の事象であると捉えられるマネージャー(構造主義)では、現場からの信頼も事業価値向上への貢献も、時を追うごとに大きく差が出るでしょう。
どちらか100%に偏るのではなく、構造主義で物事を捉えた上で、相手に伝わりやすいように要素還元主義で会話をするくらいがちょうどよいのかなと思います。